アルティミシアの居城。
特に何かを考えるという事もなく、吹き抜けの廊下をゴルベーザはゆっくりと歩む。
ただ、あるがままに受け入れるだけ。
何も望まない。望んではいけない。無為。
己にとってはそれだけの世界。
それでも何かから身を守るようにして、鎧を纏い、外套にそれを包んで、存在だけは続いている。
続いているだけ。それだけ。
存在し続けるだけの、贖罪。
向かいから、走ってくる人物が視界に入った。
それは90度の角を壁を伝うように走り曲がった。
金色の逆立つ髪。
身の丈程の大剣を背負いながら、よくもあの速度が出るものだと少し感心した。
まっすぐこちらへ突っ込んでくる。己など視界に入らないというように。
音速ですれ違い、
消えた。
がしゃり。
それだけの事、と
構わず、鎧の音を立て歩み進む。
程なくして、同じ角を黒いコートの銀色がゆったりと歩いて来た。
互いに止まらず、ゆっくりと近づく。
すれ違う。その時。
「…クラウドを見なかったか?」
銀色の英雄が静かに問うた。
「…生憎と、私の視界には入っていない。」
「そうか。」
そのまま英雄は、真っ直ぐ歩み去っていった。
がしゃり。角を曲がる。
もぞりと、己の外套の裾が蠢いた。
「…礼を言う……。」
出て来たのは、金色の小柄な逆立つ髪…兵士。
目も合わせずに返す。
「礼を言われる筋合いはない。視界の外にいた。それだけの話だ。」
兵士が肩をすくめる独特のジェスチャーをする…空気がした。
「あんたも大概へ理屈だな。まあいい、それで助かったのは事実だから礼は言っておく。受け取るかどうかはあんたの好きにしてくれ。いつもいつもしつこくて参ってたんだ…」
この二人の因縁も妙に拗れているな、と思いはしたが口に出す事はしない。どうせ他人の事は言えない。沈黙を拒絶ととったか、兵士は自ら場を切り上げた。
「まあいい、邪魔をして済まなかったな。借りはそのうち返す。」
必要ない、という前に兵士は早足で…徐々に速度を上げ、ついには走り去っていった。
兜の中で軽く溜息を吐く。
不毛な輪廻の中の、ほんの他愛のない時間。それだけのことだ。
無関心やクールさを取り繕う、そんなところが今は有るべき場所にいるかつての部下を、ほんの少しだけ思い起こさせるだけで。
踵を返し、ゴルベーザもその場を去った。
ほんの他愛のない、袖擦り合うだけの縁。
そんな、幾度目かの輪廻。
DdFFやる気のない兄さんでした。2011.8月兄さんの日。きっと暑かったんだ。
兄さんその気になればクラウドみたいなタイプ絶対見捨てておかないし、プロログスでそれなりに交流ありそうな気配だったから馴れ初めみたいなの書いてみました。
このあとティーダが来てクラウドと仲良くなって「ここまともな奴がいないっスー!」「頼むからセフィロスからかくまってくれ」 ってノリでふたりして兄さんところに転がり込んでさらにティーダに連れてこられたティナを加えた13回目コスモスメンバーの面倒みてたりすればいいと思うんだがどうですか!
お前たちはこちらにいるべきではない的な会話とかどうですか!
その借りを返すのに、最後の輪廻でセシルを守りました! 的な。
…クラウドとティーダは月兄弟どっちとも仲良しだったとか…美味しいな。
ジェクトはカインと兄さんだし。