「なんなんスかねー! この世界はーーーッ!!」
ドカン! 力いっぱい蹴り飛ばしたボールが岩壁にぶつかって跳ね返る。デコボコした岩肌でやや斜めにに跳ね返ったボールに向かい、ティーダは走る。
「親父はなんか楽しそ――にやってっし! ムカつくんだ よぉおお!!」
渾身のオーバーヘッドで打ち返した。
破裂するんじゃないかという音を立てたボールは再び岩壁へ高速で向かう。そして豪快な音を立て、今度は完全にあさっての方向へ遥か遠く飛んでいった。
「あー」
こりゃ追いつくのはムリだとティーダは軌道を目で追うだけで諦めた。
その先で。
ボコン
誰かにぶつかった。
「げ」
やばい事故った! 慌ててティーダは事故現場へ走る。黒い服装なのか、月の渓谷の闇に紛れて姿はよくわからない。が、ティーダの足は速い。すぐに人影が首を傾げるのが見えた。
「うおぉーっとっと! スンマセン事故ったッス… ぶ!」
そこにいたのはカオスの仲間(?)ゴルベーザだった。暑くて重くて俺ならやってらんねーよと前々から思っていた格好。黒い甲冑、黒い兜…の、先に
ボールが刺さっていた。見事に。
「ちょww ごめ、サーセンわざとじゃ… ぶ… フッ ムリ――ーーー!!!」
渓谷にティーダの爆笑がこだました。
「マジサーセンごめんなさい許してぶははははは!!こっちみんなぁぁあ!」
「…笑うか謝罪かどちらかにしたらどうだ。」
やや不機嫌そうなゴルベーザの言葉が返ってくる。そりゃそうだ誰でも怒るこりゃまずいと思いながらも笑いが抑えられない。30秒ほどしていよいよ見かねたゴルベーザが。
一発透過レーザーをくれてやった。
がちり、金属音を鳴らし金具を外して、ゴルベーザが兜を脱ぐ。ティーダは仰向けになったままその様子を見ていた。水色の惑星の光を受けて、銀色の髪がキラキラと光るのが見えた。
「…修復は自分でしろ。」
兜のツノからボールを引きぬいて、ティーダに投げてよこす。
「あー、どうもッス。」
寝転がったまま受け取って、ティーダは腹筋だけで勢い良く跳ね起きた。
「えっと、ごめんな笑ったりして。ちょとツボにはいっちゃってさー。えっと…ゴルベーザ、だったよな。」
「…そなたはティーダと言ったか。」
「うっす。ティーダっす。」
なんとなく敬礼のポーズを取ってみる。深い意味は無い。なんか暗そうなヤツだから場を明るくしてみようかなあ、などと思ったくらいで。
「中身入ってたんスね。」
「…。」
沈黙。
「あれ? えーと…意外とフツーの人間だったんだなーと。」
「…。」
さらに沈黙。
「えーっと…。怒るなら、怒ってほしいッス…」
「怒る程の理由はないが。」
「サーセンした。」
腰の角度は90度。本気で謝罪してしまった。
ふ。頭上で、少しだけ笑った声がした。
「!?」
ティーダは慌てて顔を上げる。
「何故そなたのような人間がカオスになど呼ばれたかな。」
あさっての方向を向いて、ゴルベーザは笑っていた。
「えっと…親父をブッ倒すためじゃねーかな…」
「ジェクトだったか?」
「そう! あのムカつく野郎!!」
「何かあったのか?」
「何かって! なに か…って… 思いだせね―けど! 色々馬鹿にされてた気がする!!」
「成程。」
ゴルベーザはまだ笑っていた。仕返しかよ、とちょっと思った。
「まあ、今はそれも良かろう。追々お前がどのような道を歩むか見ものだな。」
言いながら、ゴルベーザは兜を被り直している。
「なんスかそれ。」
「何れ判る。…やもしれん。」
「わっかんねーよ! 何か知ってんなら教えろよ、仲間だろ!」
背を向けつつあったゴルベーザがぴたりと止まった。もう一度、ティーダに振り返る。一瞬ティーダは身じろいだ。
「…そなたの行く末は本当に楽しみだな。残念だが、己の手の内を安々と明かす者などカオスには居ない。だが…その心意気を忘れなければ、何れ仲間が生まれるやもしれんな。」
「なんスか…それ…」
含みと、圧倒的な存在感にティーダの言葉は掻き消された。
「精々、励め。」
そう言ってゴルベーザは掻き消えるようにその場を去った。
「…ぜんっぜんわかんねーよ…。」
一人渓谷の風に吹かれてつぶやく。
でも。
あいつ、悪いやつじゃないな。カオスにいて変な話だけど。
ティーダはそう思った。
これが、ティーダとゴルベーザの最初の邂逅。
よっしゃあついにキタ━━━━(゚∀゚)━━━━!! 神様DDFF兄さんサイドのネタくださいましたーっ!!
書き始めてからうpまで1時間ちょいくらいだぜこれ最高速度デタコレ!
ティーダはこれ、可愛くてしょうがねえだろ兄さんよう。
あとツノに刺さるブリッツボールは笑ってもしょうがないです。だれか描いてくれwwwwwwww